廃墟
奥多摩ロープウェイ 川野駅
2011年09月22日
誰が置いたんだろ。
週末に時間ができたので、
興味のあった奥多摩のロープウェイ駅に行った。
コチラが目的の川野駅。
既に立派な廃墟となっている。
ちなみにネットで情報が出てくるくらい、廃墟好きにしてみたらメジャーな場所らしい。
中は程良く荒廃している。
正面玄関を入ってすぐの場所。
たいへんにフォトジェニックな空間。
元は券売所だったのかな。
スツールに蔦が絡まる。
窓ガラスは割れているので、風も抜ける。
錆びて原型をとどめていない金庫と、来訪者が置いたであろう灰皿。
階段手前にあるこの囲いの中で、チケットを切っていたのかな。
畳が立て掛けられ、引き戸が横たわる。
プレートは当時のまま。
昭和なフォントが良いね。
○走連盟などのいたずら書きがある。
恐ろしく静かな場所なのに、奥多摩周遊道路をかっ飛ばすバイクの排気音が館内に響く。
これほど都心を離れても、騒音に悩まされるのね。
住むのは無理だなーとか考えながら階段を下る。
階段脇には、和室の面影を残した部屋があった。
窓の外の緑を受け、室内に入る太陽光は全て緑を帯びている。
スチールサッシに蜘蛛の巣と蔦が絡まる。
ソファに座る気は起きない。
和室の隣がトイレ。
木造建築だったら、既に朽ちているのだろうな。
鏡は馴染んでいるけど、後から持ち込まれたようだ。
ただ鏡は割れても鏡で在り続けるんだな。
人の生活圏にあるのなら、既に捨てられているだろうに。
トイレのあたりを外から見る。
不揃いの窓。
乗り場にはゴンドラが1機、当時の姿で残っている。
「くもとり」という名を与えられていたらしい。
レバーを触らずとも、中へは入れる。
座れない椅子が2脚。
乗ると少し揺れた。
ここの駅名は「かわの」。
奥多摩湖を挟んで対岸には三頭山口駅がある。
続いて乗り場を見渡せる運転室へ。
運転室は暗く埃を被っていて、何がなんだかわからない。
機械室に降りてみる。
窓際は明るい。
ハシゴを下ると大きな機械の置かれた、広い空間へと出られる。
すこぶる大きなモーターのようだ。
ココで予期せぬ悲鳴が聞こえた。
アアァア!!マセン!!!!
ビクッと体が反応し、
息を潜めて辺りを見回す。
が、誰もいない。
耳をすますと嫌な気配を感じる。
こんな時一人で来るもんじゃないと思うが、もう既に手遅れ。
やり直しはできない。
膝のガクガクが止まらない。
このヘタレ膝め!と心の中でつぶやき、全てを膝のせいにしてみる。
しばしの沈黙のあと、悲鳴の主が姿を現せた。
身長は175cmくらい、体重60kg程度。
年齢は35歳位の赤いジャンパーを着た男性。
たぶん只の廃墟マニア。
僕の存在に気づかずに内部に入り、
僕の姿を見て悲鳴を上げたらしい。
で、その悲鳴で僕が驚いたという、
なんとも言えない残念なお話。
建物の外にヘルメットとバッグを置いてたのになー。
バツが悪かったようで、会話を交わすこともなく、彼は携帯電話で何枚か写真を撮った後すぐに、いなくなっていました。
以降も膝の震えは止まらず。
気を取りなおして、改めてモーターを見てみる。
ハシゴがあるので登ってみる。
工業系のランプ。
今ならオシャレに見える。
上から見下ろすと、ちょっと怖い。
運転室の裏には頼りない階段がある。
運転室の上にもハシゴを使って登ることができる。
ゴンドラを上から眺める。
どういった経緯でこの様な姿になったのかは、
僕にはわからない。でも、今日も鉄塔は元気だよ。
自然が人工物を飲み込んでいく美しさが味わえる。
廃墟探訪はステキな趣味となるのか、それともただの悪趣味で終わるのか。
どうなんだろ。
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